2026年9月24日(木) | 朝夕刊エディション
La Liga Journal & Media Analytics EL CLÁSICO DIARIO エル・クラシコ・ディアリオ | スペイン現地報道・定点観測ジャーナル

バレンシア vs レアル・ソシエダ

ラ・リーガ / jornada-7 / Estadio de Valencia / 2026年9月21日(月)

バレンシア 2-3 レアル・ソシエダ

試合サマリーと得点経過

試合日時: 2026年9月20日(ラ・リーガ第7節)スタジアム: エスタディオ・デ・メスタージャ(観客数: 45,122人)主審: ホセ・ルイス・ムヌエラ・モンテーロ最終スコア: バレンシア 2 - 3 レアル・ソシエダ(前半: 0 - 1)得点者:

ルカ・スチッチ(26分)、カルロス・ソレール(75分・PK)、アンデル・バレネチェア(91分)

アアロン・マヨール(57分)、ルケン・ベイティア(84分・オウンゴール)

代表ウィーク前の難所メスタージャにて、観客の感情を激しく揺さぶるジェットコースターのような激闘が繰り広げられました。前半はアウェイのレアル・ソシエダが圧倒的なボールポゼッションとパスワークで試合を支配し、後半はホームのバレンシアが若手の躍動で怒濤の反撃を見せるめまぐるしい展開となりました。

試合の均衡が破れたのは26分、レアル・ソシエダの見事な崩しからでした。右サイドで起点となったジョン・ミケル・アランブルが前線へグラウンダーのパスを送ると、ペナルティエリア手前で受けたケニア出身の新星ホブ・オチエンが右足のかかとで絶妙なヒールパス(taconazo)を落とします。そこへ走り込んだルカ・スチッチが左足を一閃。放たれた強烈なシュートは、バレンシアのGKストレ・ディミトリエフスキの手をすり抜け、ゴール左上のデッドスペースに突き刺さる圧巻の先制ゴールとなりました。レアル・ソシエダは前半、ミケル・オヤルサバルやゴンサロ・ゲデスらが相次いで決定機を迎えながらも追加点を奪えず、1点リードで前半を折り返します。

後半に入ると、バレンシアのオスカル・サンチェス暫定監督が動きます。ハーフタイムに17歳のダビド・オトルビを投入すると、バレンシアの攻撃が一気に活性化しました。57分、右サイドを突破したダビド・オトルビのクロスからエリア内で混戦が生まれると、こぼれ球に素早く反応した18歳のアアロン・マヨールが鮮やかなボレーシュート(botepronto)をネットに叩き込み、バレンシアが1-1の同点に追いつきます。

スタジアムの大歓声を背にバレンシアが勢いに乗る中、75分に大きな局面が訪れます。レアル・ソシエダのヤンヘル・エレーラがエリア内に侵入した際、バレンシアのハビ・ゲーラが足を引っかけて倒してしまい、PKの判定が下ります。キッカーを務めたのは、かつてバレンシアの下部組織で育ち、主将も務めたカルロス・ソレール。ソレールは冷静にゴール下角へ低いシュートを沈めて1-2と勝ち越しますが、古巣とサポーターへの深い敬意から胸の前で両手を挙げ、歓喜を抑えて静かに謝罪の意を示しました。

しかし、土壇場に追い詰められたバレンシアも屈しません。84分、ダビド・オトルビの鋭い右クロスに途中出場の新星アイマル・ブラスケスがゴール前へ飛び込むと、間一髪でクリアを試みたレアル・ソシエダの若手DFルケン・ベイティアの足に当たったボールが自陣ゴールへ吸い込まれ、オウンゴールにより2-2の同点となります。長いVARチェックを経てオフサイドがないことが確認され、メスタージャのボルテージは最高潮に達しました。

ドラマはアディショナルタイムに待っていました。91分、レアル・ソシエダはショートコーナーのセットプレーから、カルロス・ソレールがペナルティエリア内に侵入したアンデル・バレネチェアへ緻密なパスを通します。バレネチェアは完璧なファーストタッチで相手DFを外すと、右足を一閃。シュートはストレ・ディミトリエフスキのニアサイド(palo

corto)を打ち破るミサイルのような一撃となってゴールに突き刺さり、土壇場で2-3と勝ち越しに成功しました。

直後の94分には、バレンシアのアイマル・ブラスケスが渾身のヘディングシュートを放つも、レアル・ソシエダの守護神アレックス・レミロが驚異的な反応で片手セーブを見せ、土壇場での同点を阻止。96分には激しい抗議を行ったオリ・オスカルソンが2枚目の黄色カードで退場となる波乱もありましたが、レアル・ソシエダが死闘を制して敵地で貴重な勝ち点3を獲得しました。

戦術・采配のポイント

両チームの戦術的アプローチと監督の采配は、対照的な攻防を生み出しました。

レアル・ソシエダのペレグリーノ・マタラッツォ監督は、ミッドウィークの欧州カップ戦から先発メンバーを7人変更し、中盤にフレッシュな運動量と技術を注入しました。基本布陣の中盤ではルカ・スチッチが自由にポジションを下げてボールを引き出し、カルロス・ソレールやジョン・ゴロチャテギと共にポゼッションの主導権を握りました。前線ではホブ・オチエンの機動力とミケル・オヤルサバルの巧みなポジションチェンジでバレンシアのセンターバック陣(ペペルとユスティン・デ・ハース)を引っ張り出し、立ち上がりから数多くの決定機を創出しました。守備面ではルケン・ベイティアとジョン・マルティンの若いセンターバックコンビがビルドアップで高い貢献を見せたものの、後半に相手のサイド突破を許した際の対応には課題を残しました。

一方、バレンシアのオスカル・サンチェス暫定監督は、前節アラベス戦で今季初勝利を収めた4-4-2の布陣を踏襲しました。しかし前半は中盤でのボールロストが目立ち、レアル・ソシエダの鋭いプレッシングに対して陣形が間延びする悪循環に陥りました。特に右サイドのフィリプ・ウグリニッチが攻守に孤立し、攻撃が左サイドのアルナウト・ダンジュマによる個人突破に偏るという問題を抱えていました。

試合の流れを劇的に変えたのは、オスカル・サンチェス監督のハーフタイムの決断でした。不発だったウグリニッチを下げ、17歳の快速ウインガーであるダビド・オトルビを右サイドに投入。この交代によりバレンシアは攻撃の幅と縦へのスピードを手に入れ、レアル・ソシエダの左サイド(セルヒオ・ゴメスとアイエン・ムニョス)を激しく脅かしました。さらに終盤にはハーヴェイ・エリオットやアイマル・ブラスケスといった若手を果敢に投入し、ブラスケスが投入直後に同点弾に絡むなど、アカデミーの力を最大限に引き出す采配を見せました。

マタラッツォ監督も後半、61分にアンデル・バレネチェアとオリ・オスカルソン、69分にヤンヘル・エレーラを投入して攻勢の維持を図りました。結果として、ヤンヘル・エレーラがPKを獲得し、アンデル・バレネチェアが勝ち越しゴールを決めるなど、交代で入ったキーマンが直接スコアに影響を与える形となり、指揮官の交代策が最終的な勝利を手繰り寄せました。

現地メディアの選手採点・評価比較

現地メディア(MARCA, AS, SPORT, Mundo Deportivo, El Desmarque,Diario Vascoなど)の選手採点と評価では、両チームの主力選手や若手に対して興味深い見解の違いが見られました。

レアル・ソシエダ陣営では、中盤を支配したルカ・スチッチに最高の評価が集まりました。El Desmarqueは「9点(10点満点中)」を与え、「先制ゴールだけでなく中盤で魔法のようなパスを連発した圧巻のパフォーマンス」と絶賛しました。Diario Vascoもスチッチを「試合最優秀選手」に選出し、その展開力と決定力を高く称えました。先制点をアシストしたホブ・オチエンに対しても、El Desmarqueは「8点」をつけ、ヒールパスの閃きと右サイドでの推進力を評価しました。古巣相手にPKを決め、決勝点をアシストしたカルロス・ソレールについては、SPORTやMARCAが「感情的なプレッシャーの中で見せた見事なキャプテンシーと冷静さ」を高く評価しています。

91分に劇的な決勝点を奪ったアンデル・バレネチェアに対して、MARCAは「バスケットボールのブザービートとなる勝利の3ポイントシュートのようだ」と表現し、土壇場での勝負強さを称賛しました。不幸なオウンゴールを記録してしまった若手DFルケン・ベイティアに対しては、Diario VascoやEl Desmarqueが「オウンゴールの場面は不運だったが、試合を通じて見せたカバーリングやビルドアップの安定感は非常に優れていた」と庇い、前向きな採点を与えています。また、GKアレックス・レミロについては、El Desmarqueが「6点」と控えめな点数にとどめたものの、94分に見せた超人的なビッグセーブが「チームに勝利をもたらした決定的な瞬間だった」という点では全紙の一致した見解となっています。

バレンシア陣営では、カンテラ育ちの若手選手たちに絶賛が相次ぎました。18歳で同点ゴールを決めたアアロン・マヨールに対し、El Desmarqueは「9点」、SPORTは「8点」と高得点をつけました。El Desmarqueは「年齢を感じさせない運動量と度胸で中盤を支え、素晴らしいボレーを決めた最高の存在」と大絶賛しています。後半から出場して流れを変えたダビド・オトルビにも、El DesmarqueとSPORTが共に「8点」をつけ、「右サイドを完全に切り裂き、チームに反撃の魂を注入した」と称えました。

投入直後に同点劇を引き起こしたアイマル・ブラスケスについては、El Desmarqueがファーストタッチでの貢献と終盤の惜しいヘディングを高く評価して「9点」を与えたのに対し、SPORTは出場時間の短さから「6点」と控えめな点数をつけるなど、メディア間で評価の揺れが見られました。一方で、前半で交代となったフィリプ・ウグリニッチに対しては厳しい評価が下り、El Desmarqueが「1点」、SPORTが「4点」と最低評価を付け、「速度と精度を欠き、チームの停滞の原因となった」と辛辣に指摘されています。

試合後の監督・選手コメント

試合後の記者会見では、勝利を収めたレアル・ソシエダ陣営と、接戦を落としたバレンシア陣営から、それぞれの文脈に基づいた発言が聞こえてきました。

レアル・ソシエダのペレグリーノ・マタラッツォ監督は、安堵感を漂わせながらも課題を口にしました。「我々は勝利に値するプレーを見せた。しかし、アタッキングサードでの精度を欠き、前半の多くのチャンスで試合を終わらせることができなかったため、必要以上に苦しむことになってしまった。運で勝ったとは言わないが、もっと冷徹にならなければならない。それでも選手たちは正しい道を進んでいる。カンテラから起用したルケン・ベイティアとホブ・オチエンは、単にトップチームのドアをノックしているだけではない。彼らはドアを開けて中に入ってきたんだ。これからの代表ブレイクの3週間で個別のトレーニングや修正を行い、さらに強くなって戻ってくる」

91分に決勝ゴールを叩き込んだアンデル・バレネチェアは、劇的な瞬間を次のように振り返りました。「とにかく思い切り足を振り抜いた。相手に当たってコースが変わったかもしれないが、大切なのはボールがネットに入り、僕たちが勝利を手にしたことだ。本来ならもっと早い段階で試合を終わらせるべきだったが、この勝利はチームにとって非常に重要だった。中断期間中にしっかり反省点を見つめ直したい」

一方、接戦を落としたバレンシアのオスカル・サンチェス暫定監督は、悔しさを滲ませつつも若手とチームの姿勢を誇りました。「敗戦には胸が痛むし、本当に悲しい。だが、バレンシアのサポーターも選手たちも、チームが何をすべきかを理解して最後まで魂を見せて戦ってくれた。前半はボールロストが多く相手にカウンターを許してしまったが、後半にダビド・オトルビを入れてスペースを突く修正を行い、チームはそれを見事に体現してくれた。バレンシアは歴史的にアカデミーのクラブだ。若手たちがいつでもチームを助ける準備ができていることを証明してくれたし、熱狂的に後押ししてくれたメスタージャのファンに感謝したい」

見事な同点ボレーを決めたバレンシアの18歳MFアアロン・マヨールは、今後の見据えた決意を語りました。「メスタージャでの初ゴールは本当に嬉しいけれど、勝ち点3を届けられなかったことが悔しい。僕たち若手は下から這い上がってきた身であり、これからも監督に信頼され、チームに貢献できるよう泥臭く努力を続けていきたい」

各国の代表戦による長いインターナショナルブレイクを前に、レアル・ソシエダは勝負強さを見せて上位争いに踏みとどまり、バレンシアは敗れたもののカンテラの輝きと新指揮官ハビエル・アギーレの就任に向けた反撃の兆しを感じさせる一戦となりました。